自民党総裁選で高市早苗氏が勝利し、週明けの10月6日は日経平均株価が2,200円超えの暴騰を見せた。

積極財政を掲げる高市氏は安倍前首相の再来とも言われ、円安が進んでドル円は150円を突破。ユーロやスイスフランが史上最高値を更新した。
もはや銀行預金だけでは資産の目減りが著しく、株式投資を始めるべく証券口座を開設した人も少なくないだろう。円安と新内閣への期待を背景に株高が続けば、確かに合理的な資産防衛策となりそうだ。
しかし、株式投資には初心者が陥りやすい落とし穴が潜んでいる。これにハマると資産が増えるどころか劇的に減ってしまい、「もう投資なんて嫌だ」というありがちな結果に繋がりかねない。
今回はあまり大きな声では言えない、この落とし穴について解説してしたい。
「応援したい企業の株を買え」は本当か?
結論から書くと、株式投資の落とし穴とは「応援したい企業の株を買いましょう」という、ありがちなアドバイスのことである。
身の回りの商品やサービスを投資家目線で観察する。「お、この企業は伸びるかも!?」と思ったら、その企業の株を買ってみる。
初心者向けのセミナーやYoutube動画にはこうしたアドバイスが溢れており、投資家らしい最もな意見であることには違いない。しかし鵜呑みにすると時に取り返しのつかない事態を招く。
例えば「バルミューダの家電が好きだから株を買ってみるか。今度スマホも出すらしい。きっと伸びるぞ!!」と思った人がいたとしよう。2021年に東証マザーズ(現:東証グロース)に上場した同社は株価が6,000円付近で推移していた。

しかし同年リリースした「BALMUDA Phone」が大失敗。そこから株価は右肩下がりとなり、現在は約7分の1のわずか821円。一向に戻る気配がないのである。
セミナーで習った通り応援したい企業の株を買っただけ。投資は自己責任とはいえ、こうなると続ける気力が削がれてしまうだろう。
これこそが初心者の直面する株式投資の罠であり、最大の落とし穴と筆者は考えている。
解決策①:中小企業の株を買わない
では、どうすればいいのか?と言うと、初心者のうちは中小企業株を買わないことだ。資本の少ない企業は一度の失敗が足枷となり、二度と復活できない窮地に追い込まれやすい。
トヨタやソニーといった体力のある企業であれば、新しい製品が売れなくとも何度だって蘇る。そして株価はアップダウンを繰り返しながら右肩上がりになっていく。

もちろん投資に絶対はないし、大企業でも倒産や上場廃止に追い込まれることもあるだろう。しかし業績不振から回復できる可能性は中小企業よりも遥かに高く、株価の下落も長期的に見れば戻ってくることが多い。
従って「応援したい企業の株を買え」を本気で考えるなら、少なくとも東証プライム上場企業の中から選びたい。そして過去5年、10年、20年と株価が上がり続けている銘柄に投資しよう。
解決策②:右肩下りの株を避ける
もうひとつ重要なことは東証プライムの中でも、かつての栄光を失った企業を避けることだ。例えば日本人なら誰もが知っている企業にシャープがある。
かつての日本はあらゆる家電がシャープ製で、2000年以降も液晶テレビの普及に欠かせないメーカーだった。しかし現在の株価をご存じだろうか。

台湾の鴻海傘下にはいるも世界をリードする製品やサービスを生み出すことができず、ここから上昇する兆しが見えてこない。
日経平均が4万円を超え始めた2024年からの大相場にも乗ることができず、年初来パフォーマンスはマイナス。いくら応援したい企業でも将来性を考えるとまったくお勧めできないのだ。
シャープのように実質ブランド力だけで残っている企業は数多く、抜群の知名度があっても業績や株価の推移をしっかりチェックしたい。
どういう株を買えばいいのか
では、初心者はどういう株を買えばいいのだろう。ひとつ確実に言えるのは日経平均やTOPIXに連動したETFを購入することだ。
日経平均はこれから5万円〜10万円を突破すると言われており、インフレで企業業績が伸びれば、暴落しても再び上がっていく可能性が高い。他にも過去100年以上あがり続けている米国のS&P500など指数に連動したインデックス投資は長期投資にお勧めだ。

個別銘柄を狙うなら銀行関連株などが熱い。日本は30年間続いたデフレ経済が終わり、物価上昇が止まらないインフレ経済に突入した。
インフレを抑制するために世界の中央銀行は政策金利をひき上げる。銀行は金利収入が増えて儲かり始め、結果的に銀行株は大きく上がることになる。

先進国では利下げが始まったものの、日本は周回遅れでまだ利上げが始まったばかり。政策金利1%まで上昇の余地があるとすれば、まだまだ各銀行の株価は上がるのではないだろうか。
応援したい企業の株を買うより、東証プライム銘柄で伸び続けている企業、または政府の金融政策の恩恵を受けている企業を選ぶと長期的にお金を増やすことができそうだ。
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